素材をいろいろな角度から見てまとめ直す

二つ目に考えたいことは、どういう切り口で見せるかです。たとえば、わが子を撮ったビデオを編集するとき、年齢に合わせてイベント順に並べていくこともできます。そうすれば一般的なものになるでしょうが、たとえば運動会ばかりまとめてみるとか、誕生日ばかりまとめてみるという編集もいいですね。作業は大変ですが、子供が幼いころから大きくなるまでの様子を数分で見ることができ、それも誕生日(パーティーなど)という似たシチュエーションで見比べられますから、見る方も楽しいでしょう。

子供の成長を残したビデオは、親にとっては楽しくても、見せられる他人には、あまり楽しいものではありません。また親や身内であっても、だらだらと長いビデオ映像は、見飽きてしまいます。そこで、前述のような編集をすると、楽しく見ることができます。こうした「ちょっと違ったまとめ方」をすることを「切り口をかえる」などと言います。丸い木でも、斜めに切れば楕円になるし、年輪の見え方も違ってきます。同じ素材でも、切り口を変えることで、違った見え方になるわけです。これも編集の楽しさですね。

特集としてまとめてみる

社内報などの機関誌の場合なら、さまざまな特集を立てるといいですね。機関誌というと、どうしても、組織内のニュースを中心に掲載しがちですが、ニュースをニュースとして見せるだけでは、よほど大きな事柄でないと、見る方が興味を持ちません。そこで、一つのニュースを特集と絡めて見せるという切り口もあります。

たとえば会社であれば、社長が交代したというニュースを掲載する際、よくやるのは新しい社長の抱負などが含まれたあいさつ文やインタビューの掲載ですが、それだけでなく、社長交代を機に歴代の社長の紹介や、会社の歴史を振り返るような特集と絡めてみるのもいいでしょう。

労働組合で、新たにリゾートホテルなどの保養所と法人契約した場合などは、広報誌に、単に契約内容や利用方法を掲載するだけでなく、そのホテルに取材して施設を紹介したり、ホテル周辺にある観光地も一挙紹介すれば、利用増が期待できるのではないでしょうか。

特集とは、ニュース(報道)のように「あったことを知らせる」だけでなく、「一つの事柄をいろいろな角度から調べて、より深く紹介する」ものですので、見る側の興味を引きつけやすいと言えます。ただし制作は大変です。取材も必要になるだろうし、興味を持ってもらえるような見出し、記事も必要になってきます。でも労力をかければかけるほど編集後の内容は充実するし、作った側の達成感も大きくなるのです。